Ver2.0で何が変わったのか？

2018/2/23(金)に大型アップデートのVer2.0が発表され、ゲーム性がガラリと変わったことで賛否両論の状態になっているが、何が変わったのかを書く。結論としては、面でなく、点と線を取り合う緻密なゲームに生まれかわっているが、変わらず面白いということを言いたい。

そもそもどういうゲームか？

銀河の星取ゲームである。 1マップは1つの銀河である。ストア紹介のスクリーンショットで、無数の点で構成された円形が出ているが、それが銀河で、点の1つ1つが星系だ。プレイヤー、またはAIはそれぞれ1つの帝国となり、国境を広げる。自国の領土は銀河マップ上で色分けされて表示される。 10星系のうち1つくらいには生物が生存可能な惑星があり、植民することで自国のものとすることができる。ただし植民できるのは自国の領土内のものだけだ。この領土を広げて銀河にあるうちの一定の割合以上の惑星を手に入れるか、他国全てを戦争で屈服させるかが勝利条件である。この領土の広げ方がVer1.Xと2.0で大きく変わっている。

Ver1.Xではどう領土を広げたか？

前述の「10星系のうち1つくらいにある生物が生存可能な惑星」を植民でゲットすると、その付近が領土となる。コロニー船を送り込んで惑星に植民すると、まず小さい半径の円で領土が描画され、植民惑星に人が増えるとこの円が膨らんでいく。複数の惑星が近くにあれば領土はくっつく。くっついた領域の総体が領土ということになる。そして領土内の星系（点）にある資源は自国が自由に取ってよい。つまり、惑星に植民 → 領土が広がる → 資源を取れる → その資源で植民ということを繰り返す。ただ惑星に植民するのはコストと時間のかかる行事なので、開拓前哨基地という設備で仮押さえすることもできる。領土が他国と隣接すると、膨らませた風船を押し付け合うように国境線の押し合いになるが、国民の多いほうが圧力が高くなる。結果、押し合いによって星系を奪ったり奪われたりする。なので、星系（点）は国境線の内側にあるかどうかで取り合う、いわば領土の従属物であり、基本的には惑星と開拓前哨基地と人口で領土を広げるゲームだった。

Ver2.0でどうなった？

星系（点）に「宇宙港」という設備を作ったらそこが領土、ということになった。つまり点を1つずつ、手で取っていく。どんなに人口を増やしても、国境線が勝手に膨らむことは無い。そうすると、星系を細長い円形に連ねて占領していきドーナツ型の領土を作ると展開が早くて有利そうだが、領土内に占領していない星系（つまり穴）があるとそこから海賊が沸く仕様になっており、こいつらは放っておくと近くの設備に悪さをする。また、ストア紹介のスクリーンショットで点と点が網目のような線で結ばれている絵があるが、これはハイパーレーンという、つまりは移動経路だ。基本、あらゆる宇宙船はこの線に沿ってしか動けない。 Ver1.Xは違った。超高速航法がゲーム開始時に3種類から選べて、ワープ航法というのを選ぶとこのハイパーレーンを無視して移動できる（が遅い）。Ver2.0ではハイパースペース航法の一択となり、これがハイパーレーンに沿ってしか移動できない航法である。また敵国と戦争して領土を奪うのも、基本は星系単位となった。Ver1.Xでは、惑星を奪うと付近の領土ごとごそっと自国のものにできたのだが、Ver2.0では「請求権」という欲しい星系リストを作り、勝てばそれらを手に入れられる。価値の高い星系は同盟国との奪い合いになるし高い。

どうしてそういう変更になった？

まず行ったことのない星系も、国境内であれば自国のものというのが奇妙だという話しがあったらしい。また敵国との前線に強力な要塞を構築しても、ハイパーレーンを無視したワープで簡単に飛び越えられてしまうという問題があった。結果、惑星で待ち構えるか、国境付近の鬼ごっこをするしかなかった。これが、領土が星系単位になり、移動経路が線（ハイパーレーン）に限定されたことで、例えば敵国と接続する線を絞れる位置まで領土を広げ、限られた前線に要塞を作って防衛するようなことが可能になる。そういう、戦略性のある国境マネジメントができるゲームが作りたかったようだ。

それで結局、面白いのか？

面白いと思うが味はだいぶ変わった。惑星ごとごっそり領土をぶんどる大味さ(？)は無くなり、星系単位の小競り合いから大戦争まで可能になる緻密なゲーム性に生まれかわった。前述のとおりハイパーレーンを意識して国境を引かないと、多方面から侵入を許す脆弱な防衛線しか引けず、いずれ戦争に負ける。かといって変な形で領土を作るとペナルティがあるし、現在の領土から離れたところに作る宇宙港は高価になる仕様だ。無理なく、防衛に強く、内側に十分な資源のある国境を、プレイヤーが自分の判断・決断で1つずつ構築していくゲームとなった。これをやりごたえがあると感じるか、面倒ととらえるかは、意見の分かれるところだと思う。私は前者だ。

変更はそれだけ？　何の評判が悪いの？

国境の話が一番大きいが、他にも色々ある。例えば「戦争疲労」というシステムが導入され、これは敵との戦争が長引くと強制中断がかかるシステムだ。これによって敵国を一気に攻め滅ぼすのが難しくなっており、海外だとここの評判は特に悪く、確かに爽快感を失っていると私も思う。そもそも星系の取り合いが「影響度」と呼ばれる上げにくい数値でやりくりされるため、その点でややゲームが難しくなっている。今後、バージョンが上がって調整が入ることを期待している。

で、面白いの？

私は面白い。とりあえずDigital Anniversary Editionを買ってVer1.Xで2周、Ver2.0で1周している。このゲームは宇宙における探検、社会、科学、交流、政治、戦争などが可能な限り単純化されて詰め込まれている。あまり真面目ではないSFファンだが、様々な異星の謎に遭遇したり、ダイソン球が作れたりするのを見るとワクワクする。自由度も高い。カタツムリ星人とキツネ星人と連邦を組んで宗教国家のイカ星人に立ち向かったりしてもいいし、戦争前までさんざんこちらをdisっていた奴隷制国家のウマ星人を戦争で打ち負かして家畜奴隷かつ非常食（！）扱いしてもいい。大艦隊を操って領土拡張にいそしんでもいい。領土はそこそこにして科学研究に国力を傾けスーパー設備を作ってもいい。自国の設定も自由だ。そもそも人間じゃなくていい。国名だってグンマー帝国にしようが横浜駅にしようが構わない。銀河はままならないこともあるが、宇宙でどうふるまうかは自由だ。自分の好きに、スペースオペラを作ればいい。

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