
Valheim
😂580
76561198260554643

裸一貫で大烏に連れられ、地面に降り立った私と友人。 最初は全裸に棍棒を持ち、鹿を追いかけイノシシを撲殺し、微かな火種を絶やすまいと紀元前かくやという生活を続けた。 暫くすると家を構え、其処に煙突と保管箱を作り、皮を使って衣服を作り始めた。寒さは容赦なく私たちの体温を奪い去り、時折森の奥からやって来る根方の怪物は家を荒らす、その対策として私たちがより強力な防具と武器を求めたのは自然な流れだ。 草原を抜け鬱蒼とした森へと立ち入ると、巨大な青い怪物と出会った。あろうことか彼奴は地面の岩を引っこ抜き、私と友人めがけて投擲してきたのだ。無論、人間にそんな岩石を投げつければどうなるかなど火を見るよりも明らか。 私と友人は仲良くミンチになり、地面に初めての墓標を立てた。 「あんな進撃の巨人居るとか聞いていないんですけど?」 私たちはパンツ一丁で顔を突き合わせ、森の巨人の恐ろしさに戦慄いていた。あんな奴を相手にするならば立体起動装置か文明の利器がなければやっていられない。石槍ひとつでマンモスを狩っていた古代の英傑たちと違い、自分たちは文明沼に嵌った一般ピープルなのだ。もう一生この草原に引きこもってしまおうか? そんな思考に引っ張られるも、あのファッキン巨人が森を抜けだし私たちの拠点にやってこないとも言い切れない。 そこで私は考えを変えた。 「別に倒さなくたって良いじゃないか」と。 その日から、私と友人のマラソン人生が幕を開けた。 墓碑から装備品を回収し、鹿の生首を捧げることによって降臨する雷を放つ鹿を二人で囲んで撲殺し、持久力の加護を得た私たちは、装備品を保管箱に移し、奇声を上げながら深夜の森を爆走した。 巨人に見つかれば私たちを見つけたレレレ移動鹿に負けず劣らずの脚力で逃走し、隙を見てはピッケルで銅鉱石とスズ鉱石を採掘する日々。巨人はでかい癖に武器を使う頭もあるようで、素手の巨人もいれば棍棒を持った巨人も徘徊していた。鬼に金棒とは正にこの事である。私と友人はそのうち巨人が大砲を担いでくるのではないかと戦々恐々とした。インチキ効果も大概にしろ! そもそも銅鉱石とかスズ鉱石とか何処にあるねんと愚痴りながら、全裸で森を徘徊していた二人はその甲斐あって漸く青銅の文明を手にしたのである。因みにスズは川辺や海辺の近く、銅は大きな岩場に擬態していた。ようく目を凝らして見れば銅らしい光沢が見つかるだろう。初めて目にするまで「銅という概念は私たちの妄念が生み出した幻なのかもしれない」と本気で思っていた。あってよかった。 余談だが採掘を始めると何処からともなく湧いてくる木人どもは絶対に許さない。いつか絶対根絶やしにしてやる覚悟しろ。 銅2にスズ1、この割合で合金が出来る訳だが「何で銅鉱石二つも必要なの? 詐欺じゃない? 騙されてない私たち?」と疑心暗鬼になりながらも、私たちは無事青銅の武器と鎧、そして採掘、伐採ツールを揃えた。阿呆ほど時間を取られたが、それでも真っ当な武器である。先ほどまでの全裸に棍棒では「ヴァイキング? 原始人の間違いでしょう」となる事間違いなしであったが、今の私たちの姿を見れば「ヴァイキング? そうかな……そうかも……」となる事請け合いである。見てこの剣と盾、すっごい銅いっぱいつかったの、しねばいいのに。 さて、遂に雪辱を晴らす時が来た。 我が物顔で森を闊歩するあのブルーマンに天誅を下す時が来たのだ。 私と友人を床のシミにし、いくつもの屍を量産してきた彼奴に満を持して挑んだのである。 そして戦いは三日三晩続いた。 本当の事を言うと一分位で終わった。 二人で囲んで剣と槍でつんつんし始めたら何か死んだのである。 「何もしていないのにパソコン壊れた!」という人がいるが、あれに近い感覚であった。私たちはあの、私たちの心胆を寒からしめた青男を殺したいだけであって、死んでほしい訳ではなかった。 「こんなに簡単に、あの青巨人が……簡単すぎる、呆気なさすぎる……」 生首を転がし、皮を剥いだ後に残ったのは無駄な高揚感。そして身を迸る全能感である。 気分は伝説の剣を手に入れた勇者、あの畏怖の象徴であった巨人すらも歯牙にもかけない強さを誇る剣、それを手にした私たちの鼻は天狗となり、成層圏をも貫かんとばかりに伸びた。「あなたの鼻、まだ太陽系なの?」と言わんばかりに鼻高々な私たちは伝説の剣を手に入れた心持そのままに、こんな事を口走った。 「このまま『長老』とかいう奴もボコボコにしやろう!」 長老――村や集落に於いて最も知恵に長け、相談役として人々の和を取り成す役割を持つ集団の纏め役。この世界に於いては例の木人どもの長、という椅子に腰を下ろしているらしい。どうせよぼよぼの老爺に違いない、何か名前からして木人を召喚して戦わせるタイプの敵だし、聖剣(青銅の武器)があれば余裕っしょ。 私と友人は聖剣を振り回しながら長老と呼ばれる存在に突貫し、意気揚々に生贄を用意し駆け出した。 長老の居場所は別の大陸で、私と友人は勢いそのままに船を作り上げ出航。操作が分からずに何度か座礁したり、「あっ、これ宝島っぽい! なんかありそう!」と上陸した島が、実は島ではなく巨大な生き物で命からがら逃げだしたり、嵐に遭遇して「転覆する! 転覆するぅ!」と右往左往したり、霧に覆われ「前が見えねぇ」と涙目になったり。 本にすると大体三行位の冒険を繰り広げ、ようやく件の大陸に到着した。 「長老をボッコにする」――甘かった。余りにも甘い考えであった。 長老なんて名前から、勝手に背の曲がった慇懃な老紳士を連想していた私たちは、身長二十~三十メートルはありそうな巨大二足歩行兵器長老を前に呆然とした。青巨人より大きいじゃん、何あれ、スカイツリー? これが友人の遺言である。 彼奴はなんと手から揺れ曲がる蔓性ビームを放つのである。恐らく樹齢百億年とかの凄い神秘を纏った樹木が宇宙の電波を受信してあれやこれやで生命を獲得したに違いない。因みに木人を召喚して戦わせそうという予想は半分当たっていた、奴は地面から根を召喚し「戦いは数だよ!」を一時的とは言え体現するのである。流石長老、長老きたない。 「こんな奴と一緒の森にいられるか! 私は家に帰らせてもらう!」 帰らせてもらえませんでした。 私たちは仲良く全裸を晒し、焚火を囲んで天を仰いでいた。前にもこんな事あった気がする。 しかし今度ばかりは奇声を上げながらスルーする事は出来ない。何故ならば長老はボスであるから。ボスは絶対に撃破しなければならない、魔王からは逃げられないと同じである。何で彼奴の名前は長老なのだろうか、もう進撃の巨木とかに改名すべきだと思う。私たちのエクスカリバー(青銅製)は余りにも無力であり、「これ松明で殴った方が効きそうじゃない?」という友人の言葉に同意を示したくなった。火矢で燃やせばワンチャンスあるだろうか、あるかな……あるかも……。 私たちの冒険はまだまだこれからだ。

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裸一貫で大烏に連れられ、地面に降り立った私と友人。 最初は全裸に棍棒を持ち、鹿を追いかけイノシシを撲殺し、微かな火種を絶やすまいと紀元前かくやという生活を続けた。 暫くすると家を構え、其処に煙突と保管箱を作り、皮を使って衣服を作り始めた。寒さは容赦なく私たちの体温を奪い去り、時折森の奥からやって来る根方の怪物は家を荒らす、その対策として私たちがより強力な防具と武器を求めたのは自然な流れだ。 草原を抜け鬱蒼とした森へと立ち入ると、巨大な青い怪物と出会った。あろうことか彼奴は地面の岩を引っこ抜き、私と友人めがけて投擲してきたのだ。無論、人間にそんな岩石を投げつければどうなるかなど火を見るよりも明らか。 私と友人は仲良くミンチになり、地面に初めての墓標を立てた。 「あんな進撃の巨人居るとか聞いていないんですけど?」 私たちはパンツ一丁で顔を突き合わせ、森の巨人の恐ろしさに戦慄いていた。あんな奴を相手にするならば立体起動装置か文明の利器がなければやっていられない。石槍ひとつでマンモスを狩っていた古代の英傑たちと違い、自分たちは文明沼に嵌った一般ピープルなのだ。もう一生この草原に引きこもってしまおうか? そんな思考に引っ張られるも、あのファッキン巨人が森を抜けだし私たちの拠点にやってこないとも言い切れない。 そこで私は考えを変えた。 「別に倒さなくたって良いじゃないか」と。 その日から、私と友人のマラソン人生が幕を開けた。 墓碑から装備品を回収し、鹿の生首を捧げることによって降臨する雷を放つ鹿を二人で囲んで撲殺し、持久力の加護を得た私たちは、装備品を保管箱に移し、奇声を上げながら深夜の森を爆走した。 巨人に見つかれば私たちを見つけたレレレ移動鹿に負けず劣らずの脚力で逃走し、隙を見てはピッケルで銅鉱石とスズ鉱石を採掘する日々。巨人はでかい癖に武器を使う頭もあるようで、素手の巨人もいれば棍棒を持った巨人も徘徊していた。鬼に金棒とは正にこの事である。私と友人はそのうち巨人が大砲を担いでくるのではないかと戦々恐々とした。インチキ効果も大概にしろ! そもそも銅鉱石とかスズ鉱石とか何処にあるねんと愚痴りながら、全裸で森を徘徊していた二人はその甲斐あって漸く青銅の文明を手にしたのである。因みにスズは川辺や海辺の近く、銅は大きな岩場に擬態していた。ようく目を凝らして見れば銅らしい光沢が見つかるだろう。初めて目にするまで「銅という概念は私たちの妄念が生み出した幻なのかもしれない」と本気で思っていた。あってよかった。 余談だが採掘を始めると何処からともなく湧いてくる木人どもは絶対に許さない。いつか絶対根絶やしにしてやる覚悟しろ。 銅2にスズ1、この割合で合金が出来る訳だが「何で銅鉱石二つも必要なの? 詐欺じゃない? 騙されてない私たち?」と疑心暗鬼になりながらも、私たちは無事青銅の武器と鎧、そして採掘、伐採ツールを揃えた。阿呆ほど時間を取られたが、それでも真っ当な武器である。先ほどまでの全裸に棍棒では「ヴァイキング? 原始人の間違いでしょう」となる事間違いなしであったが、今の私たちの姿を見れば「ヴァイキング? そうかな……そうかも……」となる事請け合いである。見てこの剣と盾、すっごい銅いっぱいつかったの、しねばいいのに。 さて、遂に雪辱を晴らす時が来た。 我が物顔で森を闊歩するあのブルーマンに天誅を下す時が来たのだ。 私と友人を床のシミにし、いくつもの屍を量産してきた彼奴に満を持して挑んだのである。 そして戦いは三日三晩続いた。 本当の事を言うと一分位で終わった。 二人で囲んで剣と槍でつんつんし始めたら何か死んだのである。 「何もしていないのにパソコン壊れた!」という人がいるが、あれに近い感覚であった。私たちはあの、私たちの心胆を寒からしめた青男を殺したいだけであって、死んでほしい訳ではなかった。 「こんなに簡単に、あの青巨人が……簡単すぎる、呆気なさすぎる……」 生首を転がし、皮を剥いだ後に残ったのは無駄な高揚感。そして身を迸る全能感である。 気分は伝説の剣を手に入れた勇者、あの畏怖の象徴であった巨人すらも歯牙にもかけない強さを誇る剣、それを手にした私たちの鼻は天狗となり、成層圏をも貫かんとばかりに伸びた。「あなたの鼻、まだ太陽系なの?」と言わんばかりに鼻高々な私たちは伝説の剣を手に入れた心持そのままに、こんな事を口走った。 「このまま『長老』とかいう奴もボコボコにしやろう!」 長老――村や集落に於いて最も知恵に長け、相談役として人々の和を取り成す役割を持つ集団の纏め役。この世界に於いては例の木人どもの長、という椅子に腰を下ろしているらしい。どうせよぼよぼの老爺に違いない、何か名前からして木人を召喚して戦わせるタイプの敵だし、聖剣(青銅の武器)があれば余裕っしょ。 私と友人は聖剣を振り回しながら長老と呼ばれる存在に突貫し、意気揚々に生贄を用意し駆け出した。 長老の居場所は別の大陸で、私と友人は勢いそのままに船を作り上げ出航。操作が分からずに何度か座礁したり、「あっ、これ宝島っぽい! なんかありそう!」と上陸した島が、実は島ではなく巨大な生き物で命からがら逃げだしたり、嵐に遭遇して「転覆する! 転覆するぅ!」と右往左往したり、霧に覆われ「前が見えねぇ」と涙目になったり。 本にすると大体三行位の冒険を繰り広げ、ようやく件の大陸に到着した。 「長老をボッコにする」――甘かった。余りにも甘い考えであった。 長老なんて名前から、勝手に背の曲がった慇懃な老紳士を連想していた私たちは、身長二十~三十メートルはありそうな巨大二足歩行兵器長老を前に呆然とした。青巨人より大きいじゃん、何あれ、スカイツリー? これが友人の遺言である。 彼奴はなんと手から揺れ曲がる蔓性ビームを放つのである。恐らく樹齢百億年とかの凄い神秘を纏った樹木が宇宙の電波を受信してあれやこれやで生命を獲得したに違いない。因みに木人を召喚して戦わせそうという予想は半分当たっていた、奴は地面から根を召喚し「戦いは数だよ!」を一時的とは言え体現するのである。流石長老、長老きたない。 「こんな奴と一緒の森にいられるか! 私は家に帰らせてもらう!」 帰らせてもらえませんでした。 私たちは仲良く全裸を晒し、焚火を囲んで天を仰いでいた。前にもこんな事あった気がする。 しかし今度ばかりは奇声を上げながらスルーする事は出来ない。何故ならば長老はボスであるから。ボスは絶対に撃破しなければならない、魔王からは逃げられないと同じである。何で彼奴の名前は長老なのだろうか、もう進撃の巨木とかに改名すべきだと思う。私たちのエクスカリバー(青銅製)は余りにも無力であり、「これ松明で殴った方が効きそうじゃない?」という友人の言葉に同意を示したくなった。火矢で燃やせばワンチャンスあるだろうか、あるかな……あるかも……。 私たちの冒険はまだまだこれからだ。
